下肢静脈瘤/12-21p
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(a)超音波ドップラー血流計(b)超音波ドップラー血流計での検査の実際  腓腹部をミルキングして逆流を音で確認する。図1 超音波ドップラー血流計と検査の実際ab14れる検査である。従来の形態を観察する超音波検査(Bモード断層法)に,血流速度や波形解析が行えるカラードップラー法やパルスドップラー法を組み合わせ,血管を視覚化し,その血管の血流の方向,流量,流速を色の変化や波形で観察する方法である。1980年代にCVIへの使用が開始され,現在では静脈造影に代わる下肢静脈瘤検査の第一選択となっている4)5)。●診断の実際下肢静脈瘤の診断では,静脈瘤の解剖学的評価,逆流部位と範囲,逆流速度,穿通枝不全の有無,深部静脈閉塞の有無などを形態と機能の両面から詳細に検査できる(表2)。デュプレックススキャンでの診断の実際について以下に述べる。表在静脈の検索には,7.5〜12MHzのリニア型探触子を使用する。検査はできれば立位で行うが,長時間の立位の保持が困難な患者には,坐位で行う(図2)。最初にBモード断層法を用いて,横断像や縦断像から静脈の形態を観察し静脈径を計測する。続いて,カラードップラー法またはパルスドップラー法で逆流を評価するが,静脈は血流速度が遅いため逆流を誘発する操作を加える。その方法としては,前述の腓腹筋部を用手的に圧迫する方法(下腿ミルキング法)のほかに,空気マンシェットを用いて大腿部や腓腹筋部を一定の圧で駆血し,一気に解除して逆流を誘発するインフレーションデフレーションカフ法がある4)。逆流がある場合,カラードップラー法で,赤色→モザイク→青色,または青色→モザイク→赤色にカラー信号が変化する所見が見られ,容易に逆流の有無を判断できる(図3,動画)。しかし,一般的に正常でも多少の逆流は認めるため,パルス

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