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3経 営平成13年11月に厚生労働省から発せられた医政医発第105号通知で,毛乳頭,皮脂腺開口部等を破壊する行為は医療行為にあたるとの見解で,エステの脱毛が減少していくかと思われたが,さほど衰退することもなく相変わらず一定の市場規模を維持している。医療脱毛についても数年前とは比べ物にならないほど提供院数が増え,特に都心部においては医療脱毛専門クリニックが多数存在し大量の広告を投下して集客を行っている。そんな状況下でも,医療脱毛は,特に単院の医療機関にとって導入のメリットがある施術なのか,導入するとしたらどんなことに気を付ける必要があるのか。本稿執筆にさしあたり,n数は少ないが,医療機関における医療脱毛の提供状況についての実態調査を実施したので,その一部を補足として提示する。アンケート実施概要は以下のとおりである。●調査タイトル:医療機関における医療脱毛治療の実態調査●期間:2020年11月2日〜2020年11月17日●対象者:医療脱毛を提供中の医療機関の院長,もしくは事務長●回答数:77件(医療脱毛提供施設:40件/医療脱毛未提供施設:37件)医療脱毛を提供している77.5%の医療機関が,医療脱毛について経営上の「メリットがある」と回答している(図1)。メリットと感じている内容については,「安定した売り上げが確保できる」,「患者満足度の向上につながった」,「医療脱毛で通っている患者が他の治療も契約した」,「既存患者からその他の相談も増えた」,「自費診療導入のきっかけになり,その他の治療の導入につながった」,が多く,医師以外のスタッフで安定した売り上げが確保できるという点でメリットを感じている経営者も多いが,同時にその他の自費診療の底上げや,患者とのコミュニケーションの点でメリットを感じている傾向が強い。その反面,55%の医療機関では,「苦労した」「デメリットあり」と感じたことがあると回答している(図2)。「苦労した」「デメリット」と感じている上位の回答は,「予約枠が上手に設定できない」,「患者が集められない」,「患者からのクレームが増えた」,であった。自費診療の導入としては,比較的リスクが低い医療脱毛で経営的にもメリットが高そうな医療脱毛だが,導入する際に気を付けた方がよさそうなヒントが,これらの回答にあると思われる。田中 裕太2281医療脱毛に経営上メリットはあるか?

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