麻酔からの美しい覚醒と抜管
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(いずれかの項目が該当)(すべての項目が該当)年1回以上Ⅰ同年齢の健康者と同様の労作ができ,歩行,階段昇降も健康者並みにできる。Ⅱ同年齢の健康者と同様に歩行できるが,坂道・階段は健康者並みにはできない。Ⅲ平地でも健康者並みに歩けないが,自分のペースなら1マイル(1.6 km)以上歩ける。Ⅳ休み休みでなければ50m以上歩けない。Ⅴ会話・着替えにも息切れがする。息切れのため外出できない。表1 Hugh─Jones 分類表2 喘息のコントロール状態コントロール良好なしなしなし予測値あるいは自己最良値の80%以上なしコントロール不十分あり予測値あるいは自己最良値の80%未満コントロール不良コントロール不十分の項目が3つ以上当てはまる月に1回以上20%未満週1回以上週1回以上20%以上にも,普段どおりに投薬する。麻酔は避ける。区域麻酔が困難な場合,気管挿管を避けて声門上器具を使用するほうが気道への刺激が小さい3)。一般的に,腹腔鏡手術における声門上器具の使用は誤嚥のリスクが高いとされ,気管挿管が選択されることが多い。しかし最近では,i─gel®やLMA Pro SealTMなど密閉性の高い声門上器具も多く,腹腔鏡手術でも安全に麻酔を施行できたとする報告も多い4)〜6)。ただ,喘息発作が生じた場合,対応が遅れる危喘息症状(日中・夜間)発作治療薬の使用運動を含む活動制限呼吸機能(FEV1.0 または PEF)PEFの日(週)内変動増悪(予定外受診,救急受診,入院)FEV1.0:1 秒量,PEF:最大呼吸流量[一般社団法人日本アレルギー学会,喘息予防・管理ガイドライン2018.東京:協和企画;2018 より転載]14310 コントロール不良の気管支喘息を合併した患者 B 麻酔法と術中管理2 投薬内容の把握と前投薬喘息に対する内服がある場合には,基本的に手術まで継続する。定期的に吸入薬を使用している場合3 手術の可否を決定するコントロールが不十分な場合,2週間以内に感冒の既往がある場合,現在,感冒が疑われる場合には,気道過敏性が亢進している可能性が高く,手術の緊急性が低い場合は延期を考慮する。本症例では感冒の既往があるが,緊急性が高いため相応に準備して手術を施行する。1 麻酔法もっとも安全なのは区域麻酔であるが,今回はEPAが7─10日間休薬されていないため脊髄くも膜下

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