麻酔からの美しい覚醒と抜管
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(自発呼吸テスト終了を100%とした相対表示)図1 呼吸器離脱成功群と失敗群のSvO2の経時変化)%2(OvS−50[与える量]−[使われる量]=[お釣り]706050050100人工呼吸呼吸器離脱成功群呼吸器離脱失敗群自発呼吸テスト時間である。ヘモグロビンに結合する酸素の量は,ヘモグロビン1分子が酸素分子4つに結合することから,ヘモグロビン1 gには酸素1.39 mlが結合するということが計算で導かれる。論文によっては,1.34 mlとしているものもある。これは先ほどの計算には実際に酸素結合能のないメトヘモグロビンやカルボキシヘモグロビン(一酸化炭素とヘモグロビンの安定化合物)などが含まれていたための誤差で,実際の実験結果ではヘモグロビン1 gあたりの結合酸素の測定値は1.34 mlであったので,このようなばらつきがある4)。ここでは,1.34を採用する。ヘモグロビンの単位がg/dlと100 ml(=1 dl)あたりのヘモグロビン量であったことを踏まえると,血液100 mlあたりにヘモグロビンに結合する酸素量はとなる。次に血液に溶ける酸素の量であるが,気体の溶解する量はその分圧に比例する。酸素は100 mlの水に酸素分圧1 mmHgで0.003 ml溶ける。したがって,血液100 mlあたりに溶解する酸素量は動脈酸素分圧(PaO2)を用いてPaO2×0.003 ml ………②1.34×Hb×SaO2(%)/100 ………①[Jubran A, et al. Continuous recordings of mixed venpuse oxygen saturation during weaning from mechanical ventila tion and ramifications thereof. Am J Respir Crit Care Med 1998;158:1763─9より改変転載)]“黒い”静脈血が右房に帰り,上大静脈・下大静脈・冠静脈の血液が混合して右室から肺へ駆出される。この混合された“黒い”静脈血が混合静脈血である。通常,われわれが経皮的酸素飽和度モニターで計測するsaturationは,この“赤い”動脈血の酸素飽和度(動脈血酸素飽和度:SaO2)の指標で,SvO2は全身で酸素が使われたあとの“黒い”静脈血の酸素飽和度である。こう考えると,SvO2は酸素のお釣りの指標と考えることができる。では,お釣りの指標であるSvO2が低下するというのは,どういう状態であろうか?と考えると,お釣りが低下するというのは与える量が低下するか,使われる量が増えるか,ということが分かる。これを踏まえて,数式でSvO2を考えてみよう。まず,血液の中に含まれる酸素量を考えよう。[血液の中の酸素の量]=[ヘモグロビンに 結合する酸素の量]+[血中に溶ける酸素の量]67第2節 循 環 D 与える酸素の量を考えてみる

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