麻酔からの美しい覚醒と抜管
9/10

く。❹ 望ましい抜管のタイミングは諸説あるが,呼吸を安定させて深麻酔の状態で抜管するか,しっかりと覚醒させてから抜管するのが主流。中途半端な状態で抜管しない。❺ “危ない”と感じたら,抜管しない勇気や再気管挿管する勇気も必要。32歳,女性,身長155 cm,体重68 kg。気管支喘息の既往があり,内服薬,吸入薬を処方されているが,コンプライアンスが悪く,服用または使用しないこともある。20本/日の喫煙も継続している。最終発作は1カ月前で,救急外来を受診し,点滴,吸入の治療を受けている。数日前から感冒症状があり,咳嗽も認めているが,現時点で喘息症状を疑う明らかな所見はない。子宮外妊娠に対して,緊急で全身麻酔下の腹腔鏡下手術を予定した。術前の問診で,健康食品としてEPA(エイコサペンタエン酸)を内服していることが分かった。さて,この症例の覚醒と抜管をどうする?覚醒・抜管のポイント❶ もっとも大事なことは,喘息発作を起こさせないこと。とくに気道操作や喘142第Ⅲ章 覚醒・抜管が問題となる場面におけるストラテジー第Ⅲ章 覚醒・抜管が問題となる場面におけるストラテジー息誘発リスクのある薬剤の使用には注意する。❷ 咳嗽反射が喘息を誘発する可能性があるため,十分な鎮痛を図る。❸ 喘息発作に備えて,必要な薬剤や器具はいつでも使用できるよう準備してお A 術前管理1 喘息の重症度の評価まず最初に重症度を評価しなければならない。喘息にかぎらず,呼吸器系の合併症がある場合には,Hugh─Jones分類(Fletcher─Hugh─Jones classification)を用いることが多い(表1)1)。喘息特有の分類としては,コントロール状態の指標がある(表2)2)。術前には,これらのガイドラインの項目に即して問診を進める。Case Scenarioコントロール不良の 気管支喘息を合併した患者10

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る